九条美術の会 ニュース No.3

2006年1月29日
 

私は現憲法を支持し九条改悪に反対する

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画家 浜田知明

自衛隊がなし崩しに世界有数の軍事大国となったことは今や周知の事実である。しかし、戦力を保持しないという文言が聊か矛盾するところはあるが、戦 後60年、日本が戦争をしなかったのはやはり平和憲法のお陰であろう。自衛隊という名稱にはまだ謙虚さが感じられる。戦前、戦中を通じて軍の横暴さを体験 した者としては、やがて軍の過大な自負心が国家の名において国民を圧迫し、近隣諸国に脅威を与える存在となることを恐れる。
幾分理想主義的な感じはあるとしても、私は現憲法を支持し、九条の改悪に反対する。
浜田知明氏略歴
1917年熊本に生れる   1939年東京美術学校油絵科卒業   1949年自由美術協会会員  
1956年ルガノ国際版画展、 現代日本美術展受賞   1959年 自由美術協会退会  国際美術展、秀作美術展出品       1960年現代日本美術展受賞   1962年福島賞受賞      1965年フィレンツェ美術アカデミー名誉会員

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日本の傷痕を描く

=浜田知明と戦争体験=
<略>自衛意識を育てようという政府の危険な発言や、侵略を独立援助であると云い、植民地化を経済援助であると胡魔化しながら、教育機蘭や文化政策 を通じて秘かに特定の国への戦争協力のための準備や、自衛のための既成事実の積み重ねが強引におこなわれているのが昨今の情勢であり、こうした情勢を見事 に反映して、イデー不在の絵画が歓迎され、社会批判の牙をぬかれたマンガがブームを喚び、方法の違びに興ずるような傾向が拡がりつゝあるのが美術界の現状 である。特に版画というカテゴリーほ、その材質の自由さからも趣味性に陥ち込み易い危険があるし、遊びに流れる要素も持っているのだが、浜田さんほ戦後一 貫して軍隊や戦場や収容所での忌わしい記憶、異常な体験を措きっゞけ、戦争のもたらす悲惨や罪悪を諷刺し、批判し、憎悪しつゞける。<戦争体験>を単に体 験としてのみ通過して了わず、そこからイデーをつかみ、それを画面に構成し定着させていくという点で、稀な作家の一人といってよいだろう。浜田さんが何故 これほどまでに<戦争体験>に固執するるのか一その意味を、今日この時点でもう一度考えてみるのも無駄ではないと思う。<以下略>      菊地明子 (美術グラフより抜粋 S43.2)

呼びかけ人アピール(続報)

  • 小原義也(美術家連盟・相模原) 九条を守ることは平和を願う全世界の人々とつながることであり戦争に反対する私たちの基本姿勢です。
  • 上矢津(しん)(無所属・埼玉鳩山) 父の戦死をはじめ戦没した多くの国民の死を無駄にしないために九条は守る。広島、長崎、沖縄、本土と犠牲者の生命の代償で平和憲法をかちえたことを忘れてはいけない。決してアメリカに与えられたものでは無い。
  • 池田一憲(浜田) 戦争放棄の憲法を持つ国は、コスタリカ、パナマ、日本だけと聞く。全ての国が戦争放棄の憲法を持ち、実現して欲しい。
  • 横山善一(日展・美術家連盟・南砺) 平和を思考する彫刻モニュメントを制作しながら九条の精神、即ちシンプルイズザ ベストを訴える。戦争がいかに税金の無駄遣いであり、人間を皆、毒蛇以下にしてしまう。人間は美しい性の賛歌から生まれ新しい生命を産んで未来に希望と夢 を与えてくれる。合掌。世界平和万歳!
  • 金山明子(無所属) 9.11というふざけた日時指定での衆議院選挙後、介護、年金、保険等の改悪が10月1日から一挙に開始されています。国家の権利の一切を剥ぎ取り黙らせようという現政府への怒りを、文化という知の結集によって力に変えなければならない。
  • 大橋忠幸(自由美術・名古屋) イラクやアフガンの現状が我々に戦争がもたらす悲劇、おそらく新聞報道以上の現実を知 らしめてくれると思います。暴力による正義などどこにもありません。戦争をビジネスにする連中の都合の良い大義名文に惑わされてはいけません。結局、暴力 の応酬は1000年でも続くのです。私の力など些細なものかと思いますが、一言でも平和の象徴たる9条を守るために声を上げなければならないと考えていま す。返事がずい分遅くなって申し訳ございません.今からでも是非参加させてください。先日の憲法草案には大きな疑問と憤りを感じぎるを得ません。
  • 佐川晃司(画家・京都) 書法九条を我々は誇りとしなければならないと思う。改悪すべきではない。
  • 浜田賢治(無所属・秩父) 細り返してはいけないことがある。それは戦争という名の人殺しへの道。人には守るペきことがある。それは生きてきた証=人の生きざまのことです。それが憲法9条を守るということでもあるのです。
  • 田島征三(伊東) 世界に誇れる憲法が邪魔になるというのは、ものすごーくオソロシイ事を考えている人がトップにいるということ。
  • 橋本まち子(洋画・よこすか・鴨川) 世界中の人々が求めている戦争放棄の九条を守ろう。自由な制作活動を続けるために一人一人が主権者として行動したい。
  • 吉野誠(自由美術・広島) 私は戦争中、いやというほどあの恐ろしい教育に洗脳された軍国少年でした。戦後、新制中学 校三年生(1948年)の時、文部省が発行した教科書「あたらしい憲法のはなし」を学習しました。その中で特に第九条を習った時「すばらしい日本の憲法が 出来た、これで国や天皇のために命を捨てなくても良いし、他の国の人たちを殺さなくてもよいのだ」とクラスの皆で手をとり合って喜びました。日本の平和憲 法は世界の宝です。これを絶対に改悪させてはいけません。皆で力を出しあって守りましょう。

静寂の怒りを

 無言館ツアーで心に沁みた窪島さんのお話
「九条美術の会」平和の旅第1弾として行われた無言館ツアーには、遠くは福岡・岡山からの参加者に諏訪のサークルの方々も現地合流し総勢48名が参 加し、窪島さんのお話に心をうたれました。ツアー1日目は小雨の中浅間山の写生をし、夜は交流会を行いました。二日目は天気もよく紅葉の中無言館見学と写 生を楽しみました。参加者一同身も心も豊かに洗われたステキな旅でした。
z3sqbjsk.jpg <窪島さんのお話から>
絵描きにとって命とは何なのか、作品に命があるのです。ほっておけば彼らの描いた絵は消えていってしまうから、そして、どんな作品も見られる資格を 持っているからと、それらの絵を一堂に会せばコーラスやオーケストラのような声が聞こえてくるだろう、作品の持っている命の普遍性を見てもらいたいとの思 いで無言館をつくった。おかげさまで予想外の方々に来ていただいている。
時々ここから双眼鏡で覗いて見ると、熱狂的で尋常でないけしきもうつる。逆に無言館が熱狂になるのも怖いことだ。今大切なのは静寂さの中でしっかり と考えなければいけないということだ。そして大輪といえども一輪一輪の静寂さが束ねられたものでなければいけないのだ。それを教えてくれるのも無言館にあ る絵なのである。
無言館の絵はどれも反戦をテーマにしたものではない。たわいなく流れていた日常を描いたもので、彼らが生きた愛の歴史であり、生きたしるしなのだ。 愛はささやくものであり熱狂ではない。一人の人間の心をノックすることが世界をノックすることになるのである。  出征を前に11時間の時をかけて妻をデッサンした彼ら。家の外からは天皇陛下万歳の熱狂が伝わる中恋人の裸婦を“あと5分、あと10分・・・”と描き続 けた彼ら。この濃密な時間、ひたむきな愛する者との時間、絵を描く真空な時間と静寂さ。彼らの絵はそうした静寂さの中の自己表現なのであり、それを断ち 切ったのが戦争なのだ。我々はその時点に立って、平和、戦争を考えなければいけない。そこに立たない限りあの“熱狂”を断ち切れない。
彼らは命を失うことに無念だったのではない、絵を描けなくなることに無念だったのだ。人間が生きていくのになくてはならない水のように、それが美術にかかわる大きな仕事だと思うのである。
9k0knj5m.jpg参加者全員で記念撮影
平和の旅第二弾
立命館大学国際平和ミュージアムと 「かやぶきの里」美山町の旅
5月20日(土)~22(日)
定員60名(定員になり次第締切ります)
宿泊:美山町自然文化村 河鹿荘
費用:56500円(現地参加:2泊33000円1泊20500円)

地域・分野別「九条の会」4000を突破

「九条の会」のアピールに賛同する地域や分野別の「会」が、04年6月に「九条の会」が発足していらい1年半で4000を突破しました。分野別の 「九条の会」は以下の通りです。映画人九条の会、音楽・九条の会、九条科学者の会、九条歌人の会、九条の会・詩人の輪、建設人・九条の会、宗教者九条の 和、障害者・患者九条の会、女性「九条の会」、スポーツ「九条の会」、農林水産九条の会、俳人「九条の会」、マスコミ九条の会。 「九条美術の会」では、持ち運びパネルに皆様からの絵を掲示し、各地の駅頭や公園などで見てもらいながら、九条を守る呼びかけをしていく「九条ギャラ リー」を開設することにしました。是非、皆様からの作品を寄せて下さい。大きさはA4判以内で厚くないもの。

新たな呼びかけ人 (順不同)

古瀬慎一郎(G.デザイナー・上尾) 金山明子(無所属) 川合季子(具象美術)
川合敏久(大阪府美協・彫刻) 光山茂(自由美術・境町) 伊藤雄司 (水墨画美協・東村山)
岸田淳平(無所属・鎌倉) 笹村出(水彩連盟・小田原) 平田清隆(自由美術・秦野)
土井豊(無所属・東京) 滝沢具幸(創画会・武蔵 野) 中野中(美術評論・桶川)
西さだ子(自由美術・立川) 飯田四郎(新制作・上野原) 野島二郎(無所属・箕面)
木村晃郎(美術家連盟・小郡) 奥田秀樹(無 所属・広島) 武藤初雄(一水会・堺)
中野?(無所属・東久留米) 中部博之(日美・八尾) 田島征三(伊東)
白木博也(日美・川崎) 宮下森(東京) 竹生節雄 (無所属・豊橋)
柴田龍司(日美・埼玉) 高橋威足(一水会・所沢) 磯見美知子(無所属・鎌倉)
田辺政雄(日美・大阪) 片山昭弘(池田) 菅原洸人(サロン ドートンヌ・神戸)
昆野勝(無所属・東京) 伊東雄人(自由美術・藤沢) 堀文子(無所属・大磯)
井口環誠(無所属・東京) 福岡道雄(無所属・堺) 松本晃 (無所属・相模原)
手島邦夫(自由美術・所沢) 山村國晶(無所属・名古屋) 西中良太(自由美術・吹田)
矢野正治(無所属・枚方) 麻生マユ(無所属・川崎) 柳井嗣雄(無所属・国立)
窪田旦佳(自由美術・埼玉) 左右木商博(水彩連盟・半田) 柴田郁代(無所属・名古屋)
中川晶子(無所属・名古屋) 太田眞素巳(日 美・京都) 十時良(自由美術・大分)
久保田壱重郎(新美・城陽) 勝谷龍亮(大阪) 平岡潤(京都)
出店久夫(無所属・所沢) 海老塚耕一(無所属・横浜) 江草 昭治(日美・岡山)
横山善一(日展・美術家連盟・南砺) 西村順子(日美・守口) 小川阿屋子(無所属・茅ヶ崎)
大西弘之(美術文化協会・清瀬) 八島伊津子 (自由美術・小平) 北原礼子(横浜)
小原義也(美術家連盟・相模原) 上矢津(しん) (無所属・鳩山)
倉田新(漫画・東京) よろずふきこ(自由美術・高槻) 大島美枝子(日美・三鷹)
谷村柊丘(日美・生駒) 藤原秀法(平美・所沢) 吉野誠(自由美術・広島)
津野実(日美・和歌山) 坪井功次(関西平美・堺) 鈴木啓 之(日美・名古屋)
藤岡祐二(日美・御浜) 山口さざ子(日美・狭山) 佐藤勝紀(日美・職美・東京)
平谷倔司(日美・熊野) 久村進(自由美術・府中) 大橋忠 幸(自由美術・名古屋)
池田一憲(浜田) 常盤博(日美・東秩父) 佐藤良樹(日美・和光)
米良武子(日美・鶴ヶ島) 下村仁一(日美・広島) 中原健喜(日美・ 東京)
蟹江恵三(日美・牛久) 吉田東吾(日美・平美・横浜) 宮田啓子(目美・京都)
小池仁(日美・東京) 成川雄一(春陽会・千葉) 橋本和明(日美・越谷)
佐川晃司(画家・京都) 落合峯子(日美・京都) 濱武司(日美・平美・川崎美協・川崎)
貴志カスケ(日美・京都) 三田久美子(日美・国立) 浜田賢治(無所 属・秩父)
山内比呂子(日美・堺) 御笹更生(日美・太宰府) 岩田登娘子(墨水会・東京)
大山錦子(日本漫画家協会・会議・中津川) 中村凡之(日美・知立) 石井公彦(主体美術・入間)
篠崎カツミ(日美・新座) 橋本まち子(洋画・よこすか・鴨川) 佐橋忠男(日美・滋賀)
神田元紀(日美・島根) 新藤武吉(八王 子) 森義彦(平美・静岡)
吉見博(自由・神奈川) 藤田喜久(日美・奈良) 飯島靖治(日美・横浜)
オザキ・ユタカ(日美・松戸) 門田修充(無所属・高知) 発 起人含め279人
(2006.1.10現在)

自作九条ペンダントで

無言館ツアーに参加した埼玉の浜田さんは、9の文字をあしらった自作のペンダントで「九条を守ろう」と訴えています。すっきりしたデザインでとてもいい感じです。ちなみに、材料は古着のリサイクルとか。ためしてみましょう。

私の九条アピール

九条を守ろうと各地で美術家がたちあがっています。横浜の「美術・九条の会」をはじめ、全国各地に美術の会が広がっています。共にがんばりましょう。
  • 「九条の会」を支持する美術家・美術愛好家千葉の会  昨年発足。九条を守る呼びかけのハガキ活動をしています。会長 成川雄一氏、事務局 佐藤氏(多古町)
  • 岡山九条美術の会  昨年8月発足。展覧会も開催しました。今年の8月にも  展覧会を計画。岡山弁9条を印刷したハガキセットやILOVE9条のTシャツなどのカンパ活動。事務局江草昭 治氏。
  • 大阪美術九条の会 昨年11月発足。9人の発起人で呼びかけ人50人。事務 局松野彬太郎氏
  • 「九条美術の会in秩父展」1/23-2/3秩父生協病院待合室 ギャラリー。呼びかけ人 浜田賢治氏 九条ネット 九条を守ろうと各地で美術家がたちあがっています。横浜の「九条・美術の会」をはじめ、全国各地に美術の会が広がっています。共にがんばりましょう。
  • 「九条の会」を支持する美術家・美術愛好家千葉の会 昨年発足。九条を守る呼びかけのハガキ活動をしています。会長 成川雄一氏、事務局 佐藤氏(多古町)
  • 岡山九条美術の会 昨年8月発足。展覧会も開催しました。今年の8月にも展覧会を計画。岡山九条を印刷したハガキセットやI LOVE 9条のTシャツなどのカンパ活動。事務局江草昭治氏。
  • 大阪美術九条の会 昨年11月発足。9人の発起人で呼びかけ人50人。事務局松野彬太郎氏
  • 「九条美術の会 in 秩父展」1/23~2/3 秩父生協病院待合室ギャラリー。呼びかけ人 浜田賢治氏

「九条ギャラリー」に応募を

「九条美術の会」では、持ち運びパネルに皆様からの絵を展示し、各地の駅頭や公園などで見てもらいながら、九条を守る呼びかけをしていく「九条ギャラリー」を開設することにしました。是非、皆様からの作品を寄せて下さい。大きさはA4以内で厚くないもの。

自民党が 憲法改悪案を発表  前文・九条二項など

  • 自民党は11月22日党大会を開き、「新憲法草案」を正式に発表しました。「新憲法草案」は、現憲法前文の「政府の行 為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し…」という文言をなくし、国民に「国を守る責務」を課すとしています。九条二項―「陸海 空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」を完全削除し、「自衛軍を保持する」と明記して海外派兵もできる規定にしていま す。また、「軍事裁判所」を設置して、軍法会議を開けるようにするなど、憲法の平和原則を投げ捨てるものです。
  • 九条二項は戦争放棄の具体的な裏付けで、これまでの政府の解釈でも、この二項の規定が海外での武力行使をさせてこな かった根拠になってきたもので、これを削除することは、明らかにアメリカの先制攻撃の戦争に参戦するために、自衛隊を「戦争のできる軍隊」にし、日本を 「戦争をする国」につくりかえることを狙っているものです。これほど、国民の生命と安全を脅かすものはありません。
  • 一方民主党も党大会を開き、集団的自衛権を行使を可能にする改憲の検討を主張、自民党と改憲を競う状況も生まれています。

お願い

現在皆様のご協力で下記のような到達点となっています。引き続きご協力をお願いします。 ◎呼びかけ人 279人  ◎賛同者 1999人  ◎推薦名簿 809人 皆様から寄せられました募金はニュース作成・発送(一回約40万円)等に使わせていただいております。更に幅広い訴えを広げていくために、更なるご協力を お願いします。なお今回までご賛同いただいた方すべてにニュースをお送りしておりましたが、ニュースの発送は財政上呼びかけ人とカンパ・推薦人名簿をお送 りいただいた方にさせていただきます。ご了承ください。